その日は朝から曇天で、カーテンを少し開けていても部屋は薄暗かった。
「降ってきちゃったね」
覆い被さった大和の肩越しに窓を見る。細かい雨粒がガラスを叩いていた。
「すぐやむだろ」
「うん。でも、洗濯物干しっぱなしだ」
「……今取りこみにいくとか言わねぇよな」
分厚い身体が重なってきて、瑛二の動きを封じる。もちろん今部屋を出るつもりなんてなかった。頬を包みくちづけると「よかった」と目を細める。瑛二の一挙一動にいちいち不安げな瞳の色をしたり、ちょっと不機嫌になって唇をとがらせたり、嬉しそうに口角を上げたりするのがかわいい。
「して、大和」
見上げてねだると、大和は重ねた上体をゆっくりと起こした。開いた太ももの裏側に手を添えられ、身体をぐっと折りたたまれる。雨が降り出す前にさんざん指でひらかれたところに、太い性器の先端が押し当てられた。
「あ……んん……」
「まだ挿れてねぇよ」
「でも……もぉ、きもちい……」
これからどうされるか知っているから。
「えろすぎだろ……えーじ」
なんでも自由にできるはずの大和の顔が赤くなる。こんな恥ずかしい体勢にさせて、行為の主導権を握っているのは大和なのに。大和が腰を進めると、かたくて大きいものが一気に奥へと届いた。
「あっ! ぁ、っ……は、あッ」
「えーじ、気持ちいいか……?」
「んっ、んっ……いい、きもちいい……やまとっ、きもちいぃ……っ」
つながる部分でぬちぬちとローションが音をたてる。一番奥にある一番気持ちいいところを何度も繰り返し擦られ、お腹の深い部分が疼いた。
「ぁ、あんっ、うう、ン……ゃあ……っ」
「かわいいな……くそ、朝までずっとしてぇ……」
できないとわかっているから、子どもみたいな大和の素直な言葉が愛おしい。夕立の降る昼下がり。一時間もすればきっと誰かが帰ってくる。
乳首をつねられ、思わず腰が浮かぶほど感じてしまった。
「っひゃあぁ!?」
「……すげぇ声」
「だめ、そこだめぇ……っ」
両手で同じようにくにくにといじられると、感じやすいその部分はぴんととがって興奮を示す。かわいいかわいいと撫で回される度に頭の奥がしびれるほど良くて、反りかえった性器からとろとろと先走りがあふれるのがわかった。
「んっ、あぁ……ッ、やまとっ……」
大好きな同じところばかりをいじめられておかしくなりそうだった。身体が全部つながっているのを感じる。乳首をつねられて、大きくてちょっと苦しそうな瞳で見下ろされて、うんと大きなものでお腹の奥をかき混ぜられて、そのすべてが気持ちいい。
「そろそろイくか?」
優しい声で聴かれて、瑛二は何度も頷いた。
腰の動きがはやくなる。と思えば深いところで止まって、すりすりと内壁をこすられるのもたまらない。大和は瑛二の気持ちよくなる方法を全部知っているから、何をされても甘く喘がされてばかりだった。
シーツに投げ出した両手を縫い留められ、身体の自由を奪われる。気持ちよすぎて腰が勝手に揺れた。大和にも気持ちよくなってほしくて、お腹に力を入れて後ろをぎゅっと締め付ける。相手の身体を熟知しているのは大和だけじゃない。
「ンっ、あ……えーじ、やべぇ……」
「いいよ、いって……」
「ばか、おまえだって……」
唇が重なる。交わった腰が高く持ち上げられ、パンパンと音が響くほどの抽挿が繰り返された。ずきずきするくらい感じてしまい、両脚を大和の腰に絡めて身悶える。
「あぁう! あっ! ン、あぁっ!」
「えーじ、おれもう……」
「ん、俺も、もういく、いく……っ」
ぎゅーっと抱き着いたまま瑛二は達した。少し遅れて大和がイッたのがわかる。お腹の奥にその温度が広がり、中で出されたことに気付いて「ぁんん……」とかすかな声を漏らした。
「……雨、強くなってる」
たっぷりとキスを交わしたあと、顔を離すとしんとした静寂に雨の音がくっきり浮かび上がって聴こえた。
「洗濯もん、どうする?」
乱れた瑛二の前髪を整えながら大和が訊いた。その肩を抱き寄せ、もう一度くちづけを求める。
「もう濡れちゃってるからあとでいいよ」
「そうか」
「……そんなことより、もう一回」
大和の瞳がまた驚きと興奮に揺れる。
雨の音に閉ざされた情事にもう少しだけ浸っていたい。
